Jira Product Discovery で技術的負債に立ち向かう
今年リリースされた Jira Product Discovery がを使って Toil をどのように管理していくかを考えてみました
Jira Product Discoveryは、アイデアの収集・整理・優先順位付けに特化しており、改善サイクルに非常に役立ちます。 特に Product Manager の強力な助っ人となる、ステークホルダーとのコラボレーションやバックログ管理の効率化に強みを発揮するツールです。
これまで弊社ではプロダクトについて、顧客からの要望や、チームからの改善提案をまとめた、まさに「やりたいことリスト」を Confluence にまとめていました。
Jira Product Discovery のリストを見れば、上記はかなり管理したい指標が似ていることに気づきます。 上記のまとめでもステークホルダーとのやり取りはできていましたが、 Jira Product Discovery を活用することで、課題の視覚化を進めることができそうだと感じました。
技術的負債を含むバックログ管理の課題
技術的負債はその特性上、やりたいが今後対応したい、というように後回しにされがちな項目が多く、内容が多岐に渡ることが多いと思います。
よくある課題
- 日々増加し、どれに取り組むべきか迷う
- 技術的負債の修正は重要だが、短期的なビジネス価値が見えにくいため後回しにされやすい
- 技術的負債の影響がステークホルダーや非技術メンバーに理解されづらい
Jira Product Discoveryでの技術的負債管理とバックログ効率化の方法
サンプルのシナリオとして、「APIパフォーマンス改善」を元に JPD を使ってみます。
仕分け
まずは仕分けをするのが良いので見通しをよくします。 技術的負債に関連するアイデア(Jira の課題のように登録できます)を分類します。
その後、課題の説明欄に、技術的負債の原因、影響、解決策の概要を記載します。
- アイデア名: 「APIレスポンスの遅延解消」
- カテゴリ:改善提案
- タグ: tech-debt, performance
- 詳細: 「現在のAPI設計では、レスポンスに3秒かかるケースがあり、ユーザーの離脱を引き起こしている。」
- Insight: Slack や Jira Service Management などから、顧客やユーザからの意見・話題を集めてリンクしておく
ここまではいつも通り Jira、って感じです。
優先順位付けの効率化
Jira Product Discoveryのスコアリング機能を活用して、技術的負債を客観的に評価します。
スコアリングの基準は色々あるかと思いますが、以下はデフォルトのフィールドで使えそうなものです。 もちろんカスタムフィールドで定義づけをしても問題ありません。
ビジネス価値(Value)
: 技術的負債を解消することで直接的に得られる価値影響(Impact)
: 目的やゴールに与える影響影響範囲(Impact Score)
:Impact
とInsight
の大きさを元に点数をつけたもの労力(Effort)
: 修正の難易度や必要なリソース、工数
例えば先ほどの課題のスコアリングとして、
Value
: 4(改善すれば顧客満足度が向上)Impact
: 3(放置するとユーザー離脱が続く)Effort
: 2(既存コードをリファクタリングで対応可能)
として設定し、他のタスクと比較します。 比較はマトリックスビュー(バブルチャート)で見てみるのがわかりやすいなと思いました。 図はインパクトエフォートチャートをベースとし、ビジネス価値を丸の大きさとするバブルチャートとしています。
インパクトエフォートチャートは大体こんな感じで考えるのが一般的です(解釈は色々ありますので個人的にわかりやすいものをチョイスしました)。
今回はチャート左下のあたりに該当するため、 次のスプリントで対応
としました。
同じ領域に属するアイデアが複数ある場合は、バブルの大きさで順番をつけてみるのも良いですね。
このように、チャートまで可視化された状態で、大まかなグルーピングとともに ステークホルダーと相談しながら優先度をつけると話が早そうです。 チャートは自身でカスタマイズでき、もちろん他の相関図も作成できますので、お好みに合わせてお試しください。
その後は、ロードマップ(マイルストーン)に時期を設定したり、 やること・やらないことが決まった後はリンクされた課題としてアイデアにタスクを紐づけると プロジェクトがどの地点にいるのか(やる・やらない、やるならどの時点までの進捗が出ているのか)を確認できて素敵です。
ということで、単に表にしてまとめるのもいいけれど、優先度の決定のために視覚的に便利だと感じたのは マトリックスビュー
でしたので、
これをステークホルダーと確認しながらワイガヤしていきたいと思いました。
正解はないプロダクト管理ではありますが、日々の業務に追われて埋もれていくタスクを少しでも整理して 気持ちを楽にするべく、そのおともに Jira Product Discovery を活用してみるのはいかがでしょうか。